一晩中泣いた日
25歳の時だったかな。当時勤めていた会社の帰り、英会話教室に通い始めた。
講師の先生(アメリカ人女性)が教室の一回目だったか、二回目だったか、生徒に質問をした。「この中で、大学生か、大学を出ている人は手を挙げて」
なぜそんな質問をするのだろう、と私は思った。
三十人以上いた中で、手を挙げなかったのは私だけだった。本当に私一人だった。生徒の構成は、現役の大学生、短大生、それに社会人。私一人だけが高卒だった。
その日の夜、布団の中で自然と涙が出てきて止らなかった。
その時以来、学歴とお金に関して綺麗ごとを言う人は、信用していない。
今までの人生で嬉しかったこと、三つ。
逆上がりが出来るようになったこと。(小学生の時)
自動車学校の卒業検定に合格したこと。(三十歳の時)
大学を卒業したこと。(三十六歳の時)