tiisakihanaobasan’s blog

おばさんの学習記録です。

白い川底

 井上靖さんの『猟銃』に出てきたのではなかったのかしら。白い河床というか川床というか。

 昔、武蔵野線に乗って都心部へ向かう時、いや、もしかすると千葉の方面かもしれない、電車の振動で気持ちよくなりうとうとしてみた夢が、白い河床が出てくるものだった。コーヒー色の、でもどろどろはしていないさらさらとした水が、乾いた白い河床を流れて行く、という内容だった。ストーリーなんてない、ただそれだけのものなのに、その情景がいつまでも心の奥に残っている。

 夫は毎日仕事で遅い。私は専業主婦で子供はいない。それをいいことに働きもせで、「教養を身に着けるんだいっ!」と言い訳をしながら通信制の大学の図書館に通ったのだった。心のどこかで後ろめたさを感じながら。白い河床がその時の心象風景だったりして。

 毎日センチメンタルジャーニーばっかりですね、自分よ。でも、東京暮らしが懐かしいのは本当なんだ。一人で色んな所に行けたし。